看護師はスキルアップするにつれて、さまざまな専門用語を身につけていきます。
しかし、その専門用語をつい患者の前でも使ってしまい、意味が正しく伝わらないということがしばしば起こるのが現状です。
たとえば、傾眠という専門用語があり、この用語の読み方はケイミンと言います。
看護の専門書には、「強い刺激に対しては覚醒する一方で、放置し続けると元に戻ることもある意識混濁状態のこと」と記載されています。
医学に精通していない人が傾眠と聞くと、ただウトウトしているだけのニュアンスに感じるのではないでしょうか。
しかし、実際は意識障害が起きている状態のことを指しています。
簡単な漢字だからといって看護師が専門用語をそのまま患者に使うと、大きな誤解が生じてしまうリスクがあるのです。
また、医療現場は一刻を争う状況になることがあるため、略語が頻繁に使用されます。
慌ただしく動かなければならないため、略語を使って会話することは仕方ありませんが、患者は何を言っているのかわからず困ってしまいます。
たとえば、看護師がつい「今日からPトイレを設置します」と言っても、患者には意味が伝わりません。
院内におけるPトイレは、ポータブルトイレを意味します。
さらに看護師から「何かあったらNCしてください」と言われたときのNCとは、ナースコールを意味します。
看護師はスキルアップとともにたくさんの専門用語や略語を身につけつつも、患者の前ではわかりやすい言葉を使う姿勢が求められています。